菜々の助言通り、よく遭遇しがちだった昼休みや放課後は隼人を避けてみた。

そして、珍しく、ひとりでそのままバイト先に行くことにした。

こうやって、ひとりで下校するのって一年生以来かも…
隼人が入学してからは、いつも、隼人が一緒に帰ろって迎えに来てたっけ。

急いで出てきちゃったけど、隼人、教室に私がいないのどう思うかな?

一応、菜々にバイトに急いでいかなきゃいけない用があるから、先に帰るって伝えておいてって、伝言お願いしたけど、心配するかな?


んー、でも、隼人のことだし、そっか。くらいしか言わなそう。
隼人のことを気にかけてる女の子はいっぱいいるみたいだし、きっと、その子たちと帰るでしょ!







バイトは今日も平和で、夜の十時過ぎに私は帰宅した。

「ただいまー」

「おかえり」

リビングには恭介兄さんがいた。

「あれ?隼人は?」

「今日はちょっとご機嫌斜めみたいだよ。」

「どうして?」

「さぁ?美由なら、口きいてくれるかもしれないけどね。」


もしかして、先に帰ったの怒ってるとか?
…まさかね…

一応、先に帰ったことを謝罪しようと、隼人の部屋のドアをノックする。

「隼人ー?いる?」

何も返事が返ってこない。

「今日、先に帰ってごめんね。」