「はぁ…」

今日は月曜日。
学校二時限目が終わって、二階の教室窓から、私は校庭を見下ろしていた。

焼肉屋の晩御飯は、隼人が来てから、なんかギクシャクした空気で、あまり会話がない状態で食べ終わって、家に帰ったっけ。

香織姉さんがいたら、きっと、場を明るくしてくれたんだろうな。


「みーゆ!!ため息なんてついて、どしたの??」

「あ、菜々。いやー、実は…」

私は親友の菜々に、香織姉さんが北海道に行くこと、最近、隼人が意地悪なうえ、恭介兄さんともあまり仲が良くないことを相談した。

「香織さん、北海道行っちゃうんだ。寂しいね。」

「ほんと。寂しいどころじゃないよ。
今から、やっていけるか本当に不安。
やっぱり北海道ついてった方がいいのかなとか、寂しさに負けてちょっと思っちゃう。」

「えー、あたしは美由が北海道行くの寂しいよー。」

「私も菜々とは離れたくないよー」

「うんうん。それにさ、隼人くんがなんか嫌なら、一緒にいる時間を減らせばいいんじゃない?」

「どうやって?同じ高校、同じ家なのに?」

「家は部屋閉じこもっちゃうとか。学校は、美由が心配しなくても…ほら」

菜々が校庭を指差すと、そこには次の時間が体育なのだろうか、体操服に着替えた隼人がいた。

そして、その隼人を取り囲む複数の女子たち。

「首席で入学して、イケメン、高身長、スポーツ万能。
まぁ、女子がほっとくわけがないよねー。
三年生からも告られてるらしいよ。」

「そ、そんなモテてるんだ。」

確かに隼人の周りにはいつも女子がいるなーとは思ってたけど…

「姉なのに知らないの?
まぁ、たしかに美由が隼人くん見てるとこあんまり見ないもんね。

で、あの取り巻きたちがいるから、隼人くんに会わないようにするのは簡単だと思うよ。
女子が複数キャーキャー、ワーワー言ってるのが聞こえるエリアには隼人くんがいるってことだから。」

「あ!なるほど!!」

「とりあえず、こっちに残ってさ。
隼人くんはまぁ、そうやって付かず離れずな距離感保ってれば問題ないって!
それに、あと、一年したら、家出るんでしょ?」

「うん。そのつもり。」

「じゃぁ、あと少しじゃん!大丈夫だって!」

「そうだね!」


でも、隼人と避けて暮らしたいわけじゃないんだけどね。
ちゃんと、前みたいに、普通に会話して、盛り上がって、遊んでってしたいだけなんだけど。
最近の隼人は何考えてるのか、全然わかんない。

隼人の方を見つめると、目が合った。