極上の愛をキミへ

男は、そっとあたしの頬に手を添える。


「教えてくれよ」


何なんだ、この男は。

急に、弱々しくお願いなんかして。

でも、バカなあたしはこういうのに弱い。

それじゃダメだとわかっているのに、ビシッと突き放せない。

あの頃も今も、あたしはこれっぽっちも変わっていない。

この人は、彼と一緒だ。流されるな。

最後はズタボロにされ、あたしだけが傷を負う。


「頼むよ、結衣」


心の中にある古傷が、切なく疼く。

頭の中で、警告音が鳴り響く。


「なぁ、結衣」


甘く切ない囁きに、結局・・・また、あたしは騙されるんだ。


「あたし、朝比奈専務のこと信用しませんから」


それは、せめてものあたしの強がり。


「上等。今の言葉、忘れんなよ。いつか訂正してもらうから」


挑発的に言い捨て、再びキスを落とす。