それから10日が経とうとした頃、あたしの辞令が出た。

辞令が出た時、秘書課の人間は驚いていたが、会社の命令に文句を言う人間は居なかった。

後任の子に、淡々と引き継ぎをしているあたしに何か言いたそうな子は居たが、誰も触れてこない。

それが、あたしにとってはとてもありがたかった。

そして、最後の日。

勤務を終え、自分の荷物たちを手に会社を出る。


「よぉ!」


わざわざ、会社まで迎えに来てくれたんだ。

会社の前で待っていた、亜弥と将生と合流する。


「わざわざ、会社まで来てくれたんだ」

「1秒でも多く、結衣と居たいもん」

「あたし、死ぬわけじゃないんだけど・・・」


亜弥の言葉に、苦笑いを零す。