吏斗を忘れる気も無いくせに、朝比奈のことを好きになった。

そんな朝比奈に、寄り掛かろうとしている。


「さっきのことは、忘れてくれ」


そう言うと、朝比奈は立ち上がる。


「困らせて悪かった。さっきのは、酔った勢いだ。前に結衣が望んでいたように、極当たり前の形に戻ろう」


それは、専務と秘書と言うこと?

あたしには、出来ないよ。

自分の気持ちを、知ってしまったから・・・

でも、朝比奈がそれを望んでいる。

なら、あたしも受け止めなければ・・・


「もう、ここにも来ない。プライベートで会うのも・・・これが最後。だから、最後にワガママ言っていいか?」

「何ですか?」

「これから先も、吏斗だけの人でいてくれ」


朝比奈の言葉は、あまりにも残酷だった。