少しずつ、吏斗との記憶が薄れていくかもしれないけど・・・

それでも、吏斗があたしを愛してくれたこと。

あたしも、吏斗を愛していたこと。

それだけは、生涯絶対に忘れない。

そして今日だけは、あたしは吏斗に酔い痴れる。

今日が終わる、残り数十時間。

あたしは、吏斗の彼女でいる。

良いかな?吏斗。

もちろん、吏斗の返事は聞こえない。

でもあたしが知ってる吏斗なら、照れた顔を誤魔化すように笑って、頷いてくれただろう。

パッパッと、ズボンに付いた砂を払い、招待状の場所へと向かった。

海を部屋から見渡せるのを売りにした、ホテルへと・・・

受付で招待状を見せると、親切にスタッフが部屋まで案内をしてくれる。