極上の愛をキミへ

「その手紙をくれた人。結衣にとって、大切な人なんじゃないの?」


お母さんの言葉に、言い返す言葉が見つからなかった。


「結衣が話したくないなら、お母さんはそれで良いけど」


穏やかな笑みを浮かべるお母さんに、気付いたら口を開いていた。


「もう、好きなわけじゃない。ただ・・・」

「忘れられない?」


あたしは、小さく頷く。


「忘れる必要なんて、あるのかしら?」

「え?」

「だって恋をしてた時間も、全部結衣の人生の時間じゃない」


あたしの、人生の時間?


「だから、お母さんは忘れないわよ。離婚しちゃったけど、お父さんと過ごしてた頃のこと。だって、その中には幸せだった時間も詰まってるもの」


どこか誇らしげなお母さんの姿に、笑ってしまう。