彼は天使の仮面を被った、悪魔だ。

どうして一緒に居る間に、気付けなかったのだろう。

彼の本当の、素顔に・・・

あたしのことが嫌いになったのなら、嫌いだと言ってほしかった。

変な約束なんて、しないでほしかった。

別れを告げられた時、彼は言った。

『最後に顔を見て、伝えたいことがある』

そう、言ったのに・・・

自分で時間まで、指定したくせに・・・

約束の時間になっても、彼は姿さえ見せなかった。

何時間も、待っていたのに・・・

最後の最後に、思い知らされた。

あたしは彼に、遊ばれていたのだと・・・

なのに、バカなあたしは・・・

約束を果たすために、いつか彼が戻って来るのではないかと、心のどこかで期待している。

そんな日は、もう一生来ないとわかって居るのに・・・