佐伯くんと主従関係

「い、今のは…聞かなかったことにして下さい…」



懇願にも似た声を涙ながらに上げる私を蒼さんは黙って見下ろし



「…分かった」



ただ一言だけ、そう言ったのだった。



私は静かに起き上がり、軽く頭を下げて部屋を出る。



時刻は既に21時を回ろうとしていた。



幹也さんの部屋に行く時間だ。



廊下の鏡に映るボサボサの髪と乱れた服、目を真っ赤にさせた自分。



こんなのあからさまに何かあった。