佐伯くんと主従関係

なんでもない、と首を振って顔を逸らした。



浴衣を着ているからなのか、この暑さのせいなのか、調子が狂ってしまう。



浴衣似合ってますね、そんな言葉も言えない。



「今日も可愛いじゃん」



耳元で囁かれ、反射的にバッと耳を抑えて振り向いた。



ドギマギして返す言葉が見つからない。



「ゆ、浴衣の感想はないんですか…っ?」



やっと出てきた言葉はそんな気持ち悪い女のセリフで。



心の中で何度か自分を殴った。