「そうですね、佐伯さんはクラスの中でも人気の高い…」



7月中旬、遠くで小さくアブラゼミの鳴く声が聞こえる。



目の前では頭のてっぺんがそろそろ怪しいおじさんがダラダラと長く、同じようなことを繰り返して。



そう、私は今悠くんの高校にきている。



「佐伯さんに対して、何か不安なことなどございますでしょうか?」



なんとなく気づいてた。



このおじさんは、悠くんの立場を知って優しい言葉を選んでる。



下心ありきの面談だということ。