『けど、お互い相談なく高い買い物をするのは、これで最後にしょう』

握る手にぎゅっと、力を籠める。

『それって…』

途端に、柚希の真っすぐな視線を近くで感じた。

もう何も迷いはない。

俺は、冷たい朝の空気を肌に感じながら、ハッキリと口にする。

『休みに入ったら、大事な話がある…だから、年末の予定、空けとけよ』

その言葉の先にあるものが、分からないほど子供じゃない俺たちは、互いに暗黙のまま、すべてを悟る。

柚希の手が、強く握り返され、隣で小さく『うん』と答える声が聞こえた。

それはまだ、不透明で直接的な言葉ではないけれど、共に歩む未来を示唆している言葉にも思え、ほんの少し安堵する。

後、数日もすれば、街中は新しい年を迎えるための準備が始まるのだろう。

柚希と過ごす新年は、大きな節目になるに違いない。

そう思うと、少しの緊張と大きな期待に胸が膨らむ。