午前7:35。

二人一緒に、柚希の家を出た。

部屋を出て、柚希が戸締りをしている間、通りを見下ろすと、車道以外の場所は辺り一面真っ白な雪景色。

とはいえ、遠くに都心の高いビル群が見え、その光景のちぐはぐさが、まるで映画のセットのような、造り物のように見える。

『お待たせ』
『ちゃんと戸締りしたのか?』
『うん』
『お前、部屋に入るときも、出るときも、周り確認しろよ?』
『何でよ?』
『ここオートロックじゃないし、誰かにつけられでもしたら…』
『ちょっと心配しすぎでしょ』

”過保護すぎる”とでも言いだしそうな柚希に、続く忠告は言わずに飲み込む。

さっきの話といい、柚希の警戒心の無さには、不安が募る。

ったく、少しはこっち(彼氏)の気持ちも考えていただきたいものだ。

マンションの前の通りにはまだ雪が積もり、シッカリ踏み込まないと、足を取られそうだ。