俺は、気怠さの残る身体をベット脇の壁際に預けて、”ちょいちょい”と柚希を呼び、『何?』と近づいてきた腕を捕まえて、そのまま胸に抱き寄せベットの上に転がった。

『ちょっと!』

柚希は軽く抵抗したが、俺が『1分だけ』と言うと、諦めたのか素直に抵抗を解く。

昨夜、素肌で抱きしめた時も温かくて気持ちよかったが、ニットセーターの上から抱きしめる柚希も、柔らかくてもこもこしていて、心地いい。

『フッ、ぬいぐるみみたいだな』
『何よソレ』
『このままもう一度寝てしまいたい…』
『ダメよ、これからお互い仕事でしょ』

無論分かってはいるが、腕の中でクスクス笑う柚希を解放したくなく、目の前にあったニットのタートルを少しめくると、露わになった首元の素肌に唇を押し付けた。

『んッ』

途端に、柚希から艶のある声が出て、昨夜の情事を思い起こさせる。

やばい。
ちょっとした冗談のつもりでしたことが、つい自制が効かなくなりそうになる。

そう思った矢先に、柚希が強く抵抗し、俺の腕から逃げ出した。

『もう!何すんのよ』
『挨拶だよ、朝の挨拶…っていうか、タートルって反則だろ』
『なっ!誰のせいで、タートル着てると思ってんのよ、バカ』

本心は、抵抗してくれた柚希に感謝しつつ、怒る彼女を前に、悪びれもせずおどけて見せる。