”トンッ”

キッチンの流しの前に立つ柚希のすぐ後ろで、ケトルのスイッチが上がった小さな音が響いた。

『カフェオレで良いよね』

返事はしなかったが、勝手に了承だと受け取めたらしい柚希は、こちらに背を向け、棚からスティックタイプのカフェオレを取り出すと、大きめのマグカップに一つずつ入れ始める。

折しも柚希が後ろを向いてくれたおかげで、ゆっくり視線を向けることができるようになり、久しく見つめることなどできていなかった自分の恋人をじっくり眺めた。

風呂あがりだからだろうか、乾かした髪を一つに緩くまとめ上げ、零れた後れ毛が妙に艶っぽい。

着ているルームウエアは、クリーム色の上下に分かれたシンプルなもので、滑りの良さそうな滑らかな生地に茶色のパイピング。

生地の重みだけでストンと着流した感じが、女性特有のなだらかなボディラインを強調し、目が離せなくなってしまう。