『後は任せて大丈夫そうだな』
『心配ですか?』
『いや、お前のことだ、適度にソツなくこなすだろ』
『褒めてんですか、ソレ』
『もちろん、最大の賛辞に決まってる…それより、悪いが俺はこれから大事な仕事が待ってるんでね、先に上がらせてもらうよ』

そう言うと、持っていた大きな紙袋の中身を見せる。

中には、サンタの衣装と髭付きのウイッグ、そしてプレゼントらしき箱が二つ。

『毎年恒例のアレですね』
『まあな、最近上の子が夢のないことを言い出してるからな、ここはリアル感を出さなきゃいけないから大変だ』

大変だと言いながら、嬉しそうに困った顔を見せる。

『後は大丈夫ですから、早く帰ってお子さん達を驚かせてあげてください』
『できる部下を持つと、頼もしいな』
『お世辞は良いですよ』
『一応、報告だけは入れてくれ』
『わかりました』

課長は持っていたコートにそでを通すと『じゃあ、頼んだぞ』と肩を叩かれ、ひとしきり残っているメンバーにも声をかけ、足早に退社して行く。

チームのミスとはいえ、課長が自分を信頼してくれているのが伝わり、その信頼に答えなければ…と、気合が入る。