琥珀の奇蹟-MEN-


『あまり安心しきっていると、足元を掬われることもゼロじゃないぞ』
『どういうこと…ですか?』

漠然とした言い回しでやっぱり良くわからず、今度は素直に聞いてしまう。

マスターは『これはおそらく君のせいだが…』と前置きしてから、

『ここ最近、彼女はグッと綺麗になった…いや元々可愛らしい女性だったが、このところそれに加えて、女性がもつ独特な色香が加わって、より魅力的になったと言うか…』
『マスター、まさか…』
『オイオイ、そんな目で睨まないでくれよ、私の訳ないだろう』
『じゃあ誰が…!』

我ながら何を焦っているのか、妙な胸騒ぎに、思わずマスターの話の先を急かす。

『特定の誰か…じゃない。いや正直言うと、店に来る常連客の中には、柚希ちゃんのことが気になって私に聞いてくる男性客もいるのは事実だ。もちろん、私からは個人的な情報は何も話さないが、聞かれたら一応、君の存在は隠さず話しているよ…ただ、こう言っては何だが、彼らの中には、君が現れなかったり、彼女が一人でいる時間が長い分、交際がうまくいっていないと受け取ってる節もある…つまり、隙あらば柚希ちゃんのことを…』
『マスター!』

耐えきれず、自分で先を促したくせに、マスターの話を遮った。

『柚希は…それ、知ってるんですか?』
『さあ、どうだろうか?店の中では私がいるからか、彼らも声をかけたりはしていないようだし…』
『それじゃ、店を出たらわからないってことですよね?』
『それは、そうだが…』