12月25日 月曜日
午後7時

小さいながらも自社ビルを持つ我が社の、3階に位置する営業部のフロアに入ると、数名の社員が、『お疲れ様です』と、声をかけてくる。

今日はクリスマスということもあって、皆、約束があるのかもしれない。

いつもの同時刻に比べて、明らかに残っている社員の数が少なかった。

入って左端の一角に位置する、自身が任されているプロジェクトチームのデスクに向かうと、営業課長の栗原さんが、俺を見つけて声をかけてきた。

『よう園田、お疲れ』
『課長、まだ残ってらしたんですか?』
『たまたま残ってただけだ』

30代後半で課長まで上り詰めた栗原さんは、入社当時から、いろいろと目にかけてくれている上司で、7年目でまだ若手の俺を、このプロジェクトの主任に推薦してくれた人だ。

『聞いたよ、発注ミスだってな…で、先方の反応どうだった?』
『今日中に製品を届ければ、問題なさそうです』
『当てはあるのか?』
『はい、一応いくつかは…なくても最悪、全部の工場まで当たります』
『フッ、お前らしいな』

課長は、チラリと時計を見て時刻を確認すると、『オッと、もうこんな時間か』と呟いた。