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同じ学校にそのバンドを知っている人がいたと言う事自体が、最早驚きでしかなかった。

それにこんな些細な共通点で、一気に親近感を抱いてしまうのだから人って不思議だ。

それからしばらくの間、二人で(くだん)のバンドについて語り合った。

これ程までに好きな音楽の話で盛り上がれる相手に、わたしは初めて出会った。

どうやらそれはハル先輩にも言える様で、普段できない話なだけにお互いかなり盛り上がっていた。

それは会話が途切れる暇もない程に。

初めて誰かと共有できると言う喜びが、この上なく心地が良かった。

同士だと分かるや否や、緊張など吹っ飛び、話に夢中になる。

すると、あっという間に楽しい時間は過ぎて行った。


「あ、もうこんな時間か。……楽しくてつい話し過ぎた」


と言うハル先輩の言葉でお開きになる。

気付けば外は、既に真っ暗だった。


「わたしも凄く楽しかったです」

「それは良かった。また、部室に来てもいい?」