自分の存在を否定したくなる。
 
 
この体も、心も、言葉も、私の椅子も、机も…
 
 
みんななくなっちゃえばいい…
 
 
そうしたら…
 
 
私は幸せだ。
 
 
 
 
放課後。
私は一人で帰る事にした。


「梨恵。ごめん!今日先帰ってて!ちょっと用事あるし」

「うん。わかった!」



梨恵は愛想よく返してくれる。

用事なんて嘘だ。

そんなものない。

ただ…ただもう少し学校にいたかった。

先生にも先に職員室へ行ってもらうように言う。


 
自分の椅子に座って、先ほどと同じように机に突っ伏した。

沈黙の中、自分の吐息の音だけが聞こえてくる。

誰の声も聞こえない。

まるで世界に自分しかいないような感覚。

一生このままでいたかった。

でもそんな願いはすぐに打ち消される。




 
―キーン・コーン・カーン・コーン―
 


チャイムが鳴った。

現実だ。

現実逃避などできない。

世界から人がいなくなるなんて、私が生きている間はきっとない。



そして、恋に負けたのも事実で、決して嘘ではない。
私は立ち上がり、教室を出た。
鍵を閉めて、職員室に鍵を持っていく。
 


靴を履き替えて外へ出ると、夕日が沈みかけていた。

私はその夕日を見ながらバス停の方向へ向かって歩き出す。

心の中にあるモヤモヤを打ち消し、
一からもう一度やり直そうと思った。
くよくよしていたって何にもならない。

少しは成長をしなければ。

そう、人間は成長のできる生き物だから。