「……沙絢さん?」 それは、とある雨の夜のこと。 土曜日ということもあって出かけてた俺は、コンビニの前で傘もささずにふらふら歩く彼女の姿を見つけた。 足もおぼつかなくて、危なっかしい。 「沙絢さん。沙絢さんってば、」 「……え?あー、あっくん?」 持っている傘を彼女に傾ければ、彼女はヘラっと笑って振り向く。 「………っ、」 その目には雨に混じって涙も浮かんでいて、俺は一瞬固まってしまった。