最後に聞こえた音は、強烈な痛みを伴った。

「……?」

目が覚めると、視界がボンヤリした。

「梢ちゃん」

優しい声がした方を見やると。

「大丈夫?」

頬に温かい感触がした。

「佐伯、センパイ?」

なんで先輩が?

びっくりして、急速に意識が覚醒する。

「俺のこと分かるんだね? 良かった……」

安堵したような表情で、ため息を吐く先輩。

「あ……私、ボールがぶつかったんですね?」

サッカーの練習をしている先輩を見ていたら、こっちにボールが飛んできて……とっさに頭を下げたら、それが良くなかったようで。

「あああ……すみません」

恥ずかしくなって、両手で顔を隠す。

「すごく心配した」

顔から手を外され、そのまま握りしめられる。

「せ、せんぱい?」
「あのさ。目が離せないから、俺の彼女になって」

先輩の言葉に、息を呑む。

「好きだよ」

うなずくと、唇が重なった。