「おはよ」
「わっ、びっくりしたー」

後ろから、頭を軽くはたかれて顔を上げる。
思った通り、犯人は向かいの家に住んでるアツシで。

「おはよ。……なんで笑ってるの?」

朝は大抵不機嫌なのに、今朝はなぜか顔をにやつかせてる。

「いや、サキってわかりやすいよな」
「なんのこと?」

隣に並んでアツシを見上げると、彼は私の髪をクシャっと撫でた。

「ホントに切るとは思ってなかったからさ」
「えっ?」

私は慌てて髪を整えた。

だって、アツシはショートカットが好きだって……

「あっ」

その情報源がもう一人の幼なじみのメイだったことを思い出し、がく然とする。

「うそ、ハメたの?」

アツシは答える代わりに笑った。

「つか、髪型で好きになるわけじゃねーし」

そう言って、手をつないでくる。

「けど、案外似合ってんじゃん?」

アツシは嬉しそうに何度も、私の髪をクシャクシャと撫でた。