「ああー。ここも昔から変わってないなー。」


「希咲。なんか深い思い出でもあるのー?」
幸人が聞いてきた。



幸人なら安心して話せる気がした。


「実はね、私のお父さんは本当のお父さんじゃないんだ。」

話してもいいかな?神様。



「私が3歳頃の時、よく本当のお父さんに連れてきてもらった場所なの。」


「今、本当のお父さんは?」

幸人は真剣に聞いてくれている。


「本当のお父さんは、私が4歳の時に、事故で死んじゃった。」


「.......」


「本当のお父さんはここでお母さんと出会ったらしいの。」
「だから、お母さんにとっても、私にとっても思い出の場所なの。」


「今のお父さんはいつごろから.....?」


「お父さんが死んじゃって、お母さんが1番辛い時に、ずっと一緒にいてくれたのが、今のお父さん。」


「でも.......お母さんはどうして再婚したの?」


「お父さんの日記が死んじゃった後に見つかったの。」
「その中には、『俺にもしもの事があったら、いい人を見つけなさい』って書いてあったの。」


「それで、再婚したんだ。」


「でもお母さんはお父さんを忘れられなくて....。そんなお母さんをずっと守ってくれた今のお父さんは、忘れられないお母さんのことも、ずっと守ってくれていたの。」
「しかも何年も何年も。」


「それでお母さんは決意したんだ。」


「だから時々くるんだー。ここに。
ここにこれば、お母さんとお父さんが出会った時の気持ちが分かったりす  るかなー?なんて思って。」


「そうだったんだね。
俺なんかに話してくれてありがと。」


私の話を幸人があんなに真剣に聞いてくれるなんて思ってなかった。
でも.......
幸人に聞いてもらえてすっごく嬉しかった。


「幸人に聞いてもらえてすごく嬉しかった!ありがと幸人。」