「…もう補習ないんだろ?」



私にくっついたまま、大河が言う。



「…ないよ?」



目を瞑ったまま言う私。

そうだ、もう補習がない。



つまりーーー



「氷室くんに会えない!」



ガバッと勢いよく布団を捲り上げると、大河は驚いたような表情をして、私の顔をじっと見つめてくる。



「…いきなり叫ぶなよ、心臓に悪ぃ」


「…え、あ、ごめん」



謝ったんだけど。
まだ大河の顔はご機嫌斜めって感じで。





…なんか怒ってる?





なんて聞けるはずもなく。

暫くの間、お互い何も言葉を発さずに時間が経つのを待った。



そして、



「おい」



先に口を開いたのは大河だった。