私は痛む胸元をギュッと握って、思い切って声を出した。



「…う、嬉しかった」


「……っ」


「じゃ、じゃあね!」



それだけ言って、逃げるように家の中へ入っていったけど。




残された大河が一人、



「…そんな事言われたら余計好きになるだろ、バカ」



顔を真っ赤にして、そう呟いていた事を私は知らなかったのだ。