トイレの中にはもう先約がいたらしくて

2人の男女がそこに立ってこちらを見ていた

今にも何かありそうな体制で



いや、女子トイレに男子がいるっておかしいよね?!




男子生徒と壁の間に女子生徒がいる

いわるゆる、壁ドンってやつだ

男子のほうは、どこかで見たことがあるようなないような…?




「中村、音・・・」




女子生徒が口を開けば、私の名前



ま、知ってる人もいるだろうけど





「スマフレに見らたし、

出てったら?」



「はぁ?そんないう必要ある?」



「あんたさぁ、何かとめんどかったんだよね

一回寝ただけで彼女とか勘違いしちゃって」


「もう、良なんか知らない!!」





男子生徒が口を開いたと思うと


なぜかどんどん口論になっていって…







女子生徒はトイレから走って出て行ってしまった








「なんか、お邪魔しちゃってすみません」




一応怒らせちゃったみたいだし








「んー許さないかなぁ…」





「……え?」





ニコッと笑った彼が言った言葉は


顔とは正反対に


とてもどす黒く聞こえた





「だって、君がいたせいでやっと捕まえた女逃がしたし。」






さっきも思ったけど、この男性格悪くない?








「だから、きっちり落とし前つけてもらわないと、ね?」








一瞬、風が吹いたかと思うと






唇に暖かい感触がした









え、







なに、今の










「じゃあね、スマフレの音ちゃん」




まるで♪が付くほど

楽しそうに舌をペロリと出して

笑ながらトイレをでる彼に、




私は何も言わなかった


いや、言えなかった。
















ファーストキスは、シトラスの香りがした。