「それで、一晩中リョウさんの部屋に居た、と…」

その日の仕事は、
学校が終わった後に新曲の打ち合わせだった。

「リョウさん、よく我慢したよね…
結構手早いって噂聞いてたから」

「私とリョウがそんなことになる訳ないじゃん!


それに私、好きな人いるし!」

「いつまで小っちゃいころの
男の子引きずってるの…

音もそろそろちゃんと現実みて
恋しなきゃ~」



カナに正論を言われて
何も言えなくなる。

そう、私はその5歳の初恋以降
全くといっていいほど恋をしていない。

芸能界に入ってから
それなりに告白とかされてきたけど

いつも思い出すのはその男のこと。


もう一度会えるなんて、あるわけないのにね



そんなことをかんがえていると

ふいに昨晩のリョウの顔が頭に浮かんだ




なんで、あいつが出てくるの!!


もう知らないんだから!!