「それにしてもすごい偶然だったな。大丈夫か?」



「はい。ありがとうございました」



少女がお辞儀すると、男は手を振る。



「礼なら俺らじゃなくてしんぱっつぁんに言ってやってよ。辻斬り相手に一人残って戦ってんだからさ」



それを聞いて少女は来た道を振り返る。



その様子を見てかもう一人の男が優しく言う。



「安心しろ。あいつはそんなに軟じゃない」



「そうそう。それよりお前の家ってどこだ? 安全な場所って言ったらやっぱりお前の家だろう?」



「私は京の人間じゃないので、家はありません。宿が取れず、路頭に迷っていたところを辻斬りに襲われてあなた方に助けられたんです」



「なるほど。宿なしか。どうする?」



「連れて帰る訳にはいかないだろ。怒られたいのか?」



「でもさ……」



二人が会話しているのが聞いていると、男が走って来るのが見えた。