狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




「ようやく見つけたぞ、十六夜」



自分の名を知っている。



それだけの情報でも十分に絞り込めた。



「誰の差し金だ!?」



「裏切者の貴様には知る必要のないことだ。拘束する!」



そう言って懐から短刀を取り出し、抜刀した。



相手の攻撃をかわすと、砂ぼこりを上げる。



相手を怯んでいる間に走り出す。



何も考えずにただただ走り続けている内に、いつの間にか背後の気配は消えていた。



その足で屯所に帰ると、門前で仁王立ちしている男が視界に入る。



それは鬼の形相の土方だった。