狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




話が終わると永倉がどこかに走って行く。



「永倉さん、どうなさったんですか?」



「まぁまぁ、ちょっと待ってな。すぐ分かるから」



原田にそう言われて大人しく待っていると、暫く経って永倉が戻って来る。



その手には先程店で見ていた可愛らしい桜柄の櫛が握られていた。



「ほら。今日の記念に取っとけ」



「でも……」



「人の厚意は素直に受け取っとくもんだぜ」



原田に諭されて、申し訳なさそうにしながらも袂にしまう。



「ありがとうございます。大切にします」



それを聞いて永倉たちは満足そうに笑った。