狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー






掃除を終えてから、出かける前に準備をするため部屋に戻る。



土方に声を掛けて中に入ると、相変わらず険しい顔で文机に向かって仕事をしている彼の邪魔にならないように準備を始めた。



「いい加減、勝手に入ってきたらどうだ?」



仕事をしながら土方が十六夜に声を掛ける。



「ここはお前の部屋でもあるんだからな」



「それはそうなんですけど、やっぱり土方さんに悪いと思ってしまって……」



遠慮がちに言う十六夜に土方は筆を置いて振り返る。



「今更気にしてんじゃねぇ。これからはそんなこと一々気にしないで入って来い」



「はい」



少し言い方がきついが、土方なりの気遣いだと分かって素直に頷く。