狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー






気が付けば十六夜は屯所にいた。



意識はあったはずなのに、屯所までどうやって戻ったのかは覚えていなかった。



部屋で土方と向かい合って座る。



「どうして抜かなかったんだ?」



沖田から報告を聞いた土方は手短に尋ねる。



「抜けないんです」



土方の問いに十六夜はただそれだけしか答えなかった。



それ以上は何も言わず、ずっと袴を握り締めていた。