狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




すかさず刀に手を伸ばす。



男は刀を抜いて向かってきた。



振るわれた刃をかわして、柄を握る手に力を入れる。



思い切り刀を抜こうとするが、刀は抜けなかった。



「抜かぬのか?」



柄を握ったまま男と距離を取る。



しかし逃げられまいと男もゆっくりとした足取りで近付いてくる。



「辻斬りを前にして刀を抜けぬとは随分臆病な侍だな」



男を睨み付けるが、全く怯む様子はない。



相変わらず気味悪く笑っているだけだった。