すかさず刀に手を伸ばす。 男は刀を抜いて向かってきた。 振るわれた刃をかわして、柄を握る手に力を入れる。 思い切り刀を抜こうとするが、刀は抜けなかった。 「抜かぬのか?」 柄を握ったまま男と距離を取る。 しかし逃げられまいと男もゆっくりとした足取りで近付いてくる。 「辻斬りを前にして刀を抜けぬとは随分臆病な侍だな」 男を睨み付けるが、全く怯む様子はない。 相変わらず気味悪く笑っているだけだった。