狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー






何軒か宿屋に寄ったが、どこも部屋が空いておらず泊まれなかった。



自分の運のなさに呆れながら、野宿できそうな場所を捜し歩く。



当然京の町中にそんな場所はない。



町外れまで行けばあるかもしれないが、そんな場所はきっと治安が悪いだろう。



流石にそんなところで一夜明かすのは気が引けた。



日が沈み始め、人気も段々となくなっていく。



誰もいない広い道をゆっくりと歩く。



ここ最近ずっと獣道を歩いていたため、やたらと広く感じる。



どこを目指す訳でもなく町を歩きながら、故郷を出た日のことを思い返す。



決して後悔はしていない。



あれ以上あの場所にいたら、きっと壊れてしまっていただろうから。



橋の上でふと足を止め、振り返る。



そこには刀を持って不敵に笑う男がいた。