何軒か宿屋に寄ったが、どこも部屋が空いておらず泊まれなかった。
自分の運のなさに呆れながら、野宿できそうな場所を捜し歩く。
当然京の町中にそんな場所はない。
町外れまで行けばあるかもしれないが、そんな場所はきっと治安が悪いだろう。
流石にそんなところで一夜明かすのは気が引けた。
日が沈み始め、人気も段々となくなっていく。
誰もいない広い道をゆっくりと歩く。
ここ最近ずっと獣道を歩いていたため、やたらと広く感じる。
どこを目指す訳でもなく町を歩きながら、故郷を出た日のことを思い返す。
決して後悔はしていない。
あれ以上あの場所にいたら、きっと壊れてしまっていただろうから。
橋の上でふと足を止め、振り返る。
そこには刀を持って不敵に笑う男がいた。

