「てめぇにはいなかったのか」 「たった一人だけいました。でもその人はもうどこにもいません」 「そいつは……」 土方は話を聞こうとして言葉を飲み込む。 十六夜の瞳が潤み、唇は噛みしめて涙をこらえていることが窺えたからだ。 「いねぇんなら、ここで作りゃぁいんだよ」 それを聞いて十六夜は笑う。 「はい!」 そして力良く頷いたのだった。