狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




土方の部屋の前に着くと、男は声を掛けずに障子を開ける。



当然部屋から怒声が返ってきた。



「総司!てめぇは何度言や分かる。部屋に入る前に一言声を掛けて返事を待ってから開けろ」



「はいはい。それよりこの子が土方さんに泊めてもらったお礼が言いたいそうですよ」



男は適当に流し話を進める。



それが癇に障ったのか土方は何か言いたそうな顔をするが、話が進まないと我慢して少女に目をやった。



「ありがとうございました。約束通り今からここを出ようと思います」



「あぁ、約束だからな」



土方に一礼して少女はその場を去る。



刀と風呂敷を持つと一晩過ごした部屋に一礼して外に出た。