狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




「どちら様ですか?」



「人に名前を聞く時はまず自分からじゃないの?てか君は僕たちに関わらないことを条件にここにいるんだよね?それなら名前を聞くのもどうかと思うけど」



「いえ、別に名前を聞いたつもりはないんですけど。ここの家の方ですか?」



「まぁそうだと言えばそうだし、違うと言えば違う」



男の癪に触る言動にも少女は動じる様子はなく、ただ頷いていた。



そして思い出したように立ち上がる。



「その土方さんという方のところに案内していただくことはできますか?昨晩ここに置いていただいたお礼を言いたいので」



「いいけど、僕も忙しいんだよね。時間作ってあげるんだから何かお礼とかないの」



「すみません。私何も持ってないんですよね」



「知ってる。土方さんから聞いたから。冗談だよ。期待なんてしてない」



そう言って背中を向け歩き出す。



それを見ていると、振り返り不機嫌そうな顔をする。



「行くんでしょ。ちゃんとついて来てよ」



少女は慌てて男を追い掛けた。