「集落を出てから色々な場所を転々として、京に辿り着きました。京についてからはみなさんのご存じの通りです」
十六夜が語り終えると、部屋には沈黙が落ちる。
そして次に口を開いたのはまた十六夜だった。
「明日屯所を出ます。私がここにいたら、またみなさんに迷惑をかけてしまいます」
「はぁ!?何言ってるんだよ。まだ傷だって治りきってないんじゃ……」
「ご心配には及びません。完治とまでは言えませんが、もうほとんど治っています。だから一人でだって戦えます」
そう言って十六夜は問答無用で一同を部屋から追い出した。
障子を閉めて、足音が遠ざかっていくのを聞きながら呟く。
「ごめんなさい」