狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




和泉から聞かされた数々の教えによって、十六夜は当主に相応しい器へと成長した。



代わりに感情の一部が欠落していた。



友人と呼べる存在はおらず、ずっと一人でいる日々を他の誰でもなく、和泉が一番心配していた。



「鬼は孤独だ。その中でも特に当主として鬼を纏める俺たちは孤独だ。人間たちのように交わっていることなどできないだろう。でもお前なら……」



「何が言いたいの?」



「お前ならきっと見つけられるんじゃないかと思うんだ。お前は本当は優しいからな」



「当主のあんたがそんなこと言っていいの?」



「ただの気まぐれだ」



そう言って笑う和泉を見て、十六夜は自分に当主としての才能がないことを十分に理解していた。



それはすでに和泉のことを師として信頼してしまっていたからだ。