狂おしい赤と鈴の音に酔いしれてー前編ー




誰もが気まずくなり口を開こうにも開けなくなった時、十六夜が沈黙を破った。



「九十九は力を欲していました。私の暮らしていた集落は血の繋がりのない者達も多く、集落を治めるのに必要なのは他の何も寄せ付けない強さです。でも彼にはそれがなかった」



「つまりあいつは当主になるためにお前を殺そうとしてるってことか?」



「いえ、少し違います。多分彼は私のことを憎んでいるんです。前当主に認められて当主になるべく育てられたにもかかわらず、当主を殺したことで心が折れて逃げ出した私を彼は許せないんです」



十六夜は今より数年前、彼女が集落で暮らしていた時のことを語り出した。