夏の真昼間、かなりの距離を歩き、すでに体のあちこちから汗が噴き出している。



手拭いで拭って顔を扇ぐ。



手で扇いでいた時より風が来るが、暑いことに変わりはなく、手が疲れたため手を止めて持っていた手拭いを首に掛ける。



長い髪を纏めると少しはましになったが、気休め程度にしかなっていない。



「暑い」



口に出せばなおそう感じるが口に出さずにはいられなかった。



涼しいと口にしたところでこの暑さが収まる訳ではない。



それなら現実を受け止める方が賢い。



暑さで頭がやられて、思考はほぼ停止していた。