「堪らなく…九条君が好き」

「……そう言われるの待ってた」

『遅えよ』

そう言いたげに眉をしかめては来たのに私のフィルター越しから見る笑みは酷く柔らかく歓喜的だ。

そんな彼に引き寄せられるように手を伸ばせばほぼ同時に伸びてきた腕に逆に引き寄せられて抱きしめられた。

いつもは…躊躇っていた。

この腕を背中に回していいものなのかと。

恋人の様に自分から縋って抱きついていいものかと。

でも、もうそんな迷い皆無にしっかりと手をまわすと放したくないと示す様に彼の服を掴み皺を広げて。

自分の顔を彼の肩に埋めると自分と同じシャンプーの匂いがほのかに香る。

それにどこか満足しながら、

「ねえ……、九条君の事色々聞いても良い?」

この一週間は知るのが恐くて、ますます好きになるのが恐くて聞けなかったから。

でも今は、知りたいことが多すぎて欲が尽きないの。

何でこの仕事を選んだのかとか、その魅惑的すぎるオッドアイの事とか。

「好きなだけ。欲しいだけ俺を暴いて探って求めていいよ。ミモリさんにだけ、他には見せない俺を教えてあげる」

それは、酷く甘美な誘惑だと、危険さも感じるのに小さく笑って更に身を寄せてしまう。

深く知ればますます惚れ込んで逃げられない。

でも、すでに逃げるどころか食いつくされたいと思っているのだから仕方ない。

そんな私をも全て暴いて読み取っているかのように、