「あ~、もう厨二病発生か。27にもなって…」

どんだけこの一週間で彼に落としこまれてしまっていたのか。

手遅れな程依存していると、変に熱くなった顔を隠す様に覆って息を吐いてしまう。

「嘘つき、何サバ読んでんの?」

「っ……」

そんな突っ込みにはさすがに驚き覆っていた手から顔を上げた。

そうして絡むのはしてやったりと笑う意地悪だけども意地悪になり切れていない彼の眼差し。

驚くわ。

それすらも知って?

そんな疑問は音にしなくても私の表情で充分に伝わっていたらしい。

「今日、誕生日でしょ?」

「っ……」

「本当は、今日を一人で過ごしたくないから、だから『誰でもいい』って焦ってたくせにさ。なんで『別れよう』なんて言いだすかな」

「っ~~~」

「ミモリさんって本当に素直じゃない、」

「っ…知ってる、」

「天邪鬼、」

「分かってる、」

「でも…だから逆に、無茶苦茶に甘やかして潰してやりたくなるよね」

「っ……」

なんて意地が悪い。

……ん?コレは意地悪?

もう何が優しさで何が意地悪なのか訳が分からなくなってきた。

「あーもう、なんで……何でこんな性質の悪いのに好かれたんだろ、何でこんなに好きになっちゃったかなあ……」

嘆かわしいと、最早自分ではどうしようも出来ない恋心に頭を抱え、それでも自然と口の端が上がって『フッ』と笑いが零れてしまった。