社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"

店員さんも交えてドレスと靴を選び、試着をしてから購入してもらった。


秋らしい落ち着いた色のワインレッドの色合いのドレス。


肩から袖、胸辺りにかけてがレース、その下部分がノースリーブのドレスになっていて、ウエスト横に大きめのリボンが付いている。


同じくワインレッドのパンプス、白のクラッチバッグに丈の短めのジャケット。


秋葉さんが選んだのは、濃紺の綺麗めなドレスに高めなヒール。


「くるみちゃん、ワインレッドのドレス、凄く似合ってたー。可愛い過ぎるっ!」


「普段、着たことがない色なのでドキドキします。秋葉さんはスタイルも良いし、どんなドレスでも似合いますね。高めのヒール、憧れます!」


「ヒールね、履きなれないから嫌なんだけど…これから履く機会がありそうだから慣らさなきゃいけないと思って…」


ショップを出てからは、ドレス選びの興奮が冷めやらず、ガールズトークが止まらなくなり、彼氏達なんて、そっちのけ。


相良さんがショップバッグを持つ訳がなく、まとめて副社長に持ってもらっている。


「そう言えば…、このドレスはどこに来て行くのでしょうか?」


「くるみちゃん、聞いてないの?今度、オーベルジュ…、えっと…ホテルの高級レストランに食事に行くのよ?顔合わせ前に一度、練習でスマートカジュアルOKなお店に行こうって話だったの。その練習が、今日ね!」


オーベルジュ?高級レストランのお店の名前?


練習?スマートカジュアル?


頭の中で整理仕切れません。


知らない単語がぐるぐる回っています。


「ゆかり、今のプレゼン、不合格ね」


私達の後ろ側を歩く副社長が笑いながら、声を掛けてきた。


「だって、上手く説明出来ないんだもん!」


「はいはい」と言って、なだめる様に秋葉さんの頭をポンポンと軽く叩く。


「とりあえず、車に乗ってからね?」


ふふっと柔らかく笑った副社長の横で、相良さんが呆れた様な顔で溜め息をつくのが分かった。