社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"

鏡と睨めっこしてメイクをしている途中で、来客を知らせるチャイムが響く。


相良さんかもしれない…。


早くメイクを終わらせなきゃいけないのに、冷やしても腫れぼったい目がどうにもならず、玄関先に行く事も出来ない。


困った…!


とりあえず、インターフォンで相良さんかどうかを確認するしかないな。


「くるみちゃん…?」


インターフォンを確認しようとしていたら、玄関先からトントンとドアを叩く音がして、何故か秋葉さんの声が聞こえた。


ナイトプールに一緒に行ってから、私の名字からつけたあだ名で"くるみちゃん"と呼ばれている。


秋葉さんは胡桃沢と言う名字が可愛いと気に入っていて、気軽に呼んでくれている。


秋葉さんが1人みたいだったので、恐る恐るドアを開けてみる。


「…おはようございます」


「おはようございます。くるみちゃん…お迎え来たよ!」


「えっと…はい、すみません、今すぐ行きます…」


…………?


相良さんからメールが来てたけれど、時間の連絡しかなく、状況が良く分からない。


今日はドラマを見る事はなさそうな事だけは、何となく分かる。