「なっちゃん待ってよー!」
「待つわけないでしょ!!ほんとに遅刻しち
ゃう!」
降谷夏実、只今全力疾走中です!
「お、俺もうダメ~・・・」
「誰のせいでこうなったと思ってるのよ
ー!」
何があったかって?
実はあの後…
(~10分前~)
「ふぅー、何とか遅刻しないですみそう
ね。」
別荘を出て15分歩いたか歩いてないかくら
いで学校が見え、私はほっと息をついた。
地味っ子の姿で遅刻とかほんとごめんだわ
「ね、雪」
同意を求めるように隣に目をやる、が雪は
何も反応せず俯いている。
「雪?どうしたの?」
もう一度問いかけるがやはり反応がない。
「具合、悪いの?」
なんの反応もしない雪に私はだんだん焦っ
ていく。
「なっちゃん・・・。」
「ゆ、雪…?」
「なっちゃん、どうしよう……」
「何?どうしたの?」
「あのね、俺、俺……」
「うん、何?」
ゴクリ
思わず喉がなる。
「俺ね…………
忘れ物した…。」

