僕と城矢君の平行線は。

僕ががらがらと教室の扉を開ければ、いつもの静寂。

そこに少しほっとした。

やっぱり僕が少し変だったんだ。

ここだけはいつも道理。

黙って自分の席に着く。

自然に目に入る、ある人の席。


あれ、まだいない。

いつも僕より早いのに。




チャイムがなっても来ない。

「おーい、HR始めるぞー。」

「ハァ…遅れ…ハァ…ました!」

あ、来た。

「遅刻ギリギリだぞ?どうした。」

「ちょっと、ハムスターが居たので…あ、ちょっ!」

城矢君のポケットから出てきたのはハムスターだった。

逃げられないように、城矢君は急いで手で捕まえる。

なんで道路にハムスター??

「猫に追いかけられてて、捕まえるのに時間がかかりました。」

僕を横目で見ながら答えた。

城矢君は笑ってる。

やっぱり読心術だろうか。

僕の思ってることに答えてる。

「せんせーい、このハムスターどうするんですかー?」

1人の生徒が言う。

「そうだな。アレルギーの人はいないか?」

誰も反応をしない。

「よし、飼っちゃおうぜ。」

おい、適当だな。

「よかったなお前!」

そう言ってハムスターの頭を撫でる城矢君。

無邪気に笑っている。

それを見た女子たちは黄色い歓声を上げている。

「でも飼い主が見つかるまでだ。外にチラシを貼って探すぞ。それまで全員で世話をしよう。」

「ま、しょうがねぇー。やってやりますか!」

「私、ハムスター好き!!」

クラスから様々な声があがる。


ハムスターか。

ちょっぴり嬉しいのはここだけの話。