僕と城矢君の平行線は。

「ハァ…ハァ…手伝うよ。」

息切れが凄い。

わざわざ走って来たの?

何のため?

「なんでここに。」

普通こんな時、ありがとうだろうに。

でも突然の事に頭が追い付かない。

「なんでって、星南さんの手伝いにだよ。俺の所には人がたくさんいるから、任せても大丈夫だろって思って。」

そうゆうことか。

居なくなった担当の人達は城矢君の所に行っていたのか。

納得した。



「何したらいい?」

「ぁ…それじゃ枯れた花抜きをお願いします。」

「おう!」


僕達は分からないところは教え合い、作業をしていった。

僕も坦々とこなしていく。

手は使っていても、口は動かせると思ったから

僕は少し素直になろうと思う。

「ありがとう。」

今できる精一杯。

声の小ささは見逃して。


「どういたしまして。」


そう言って彼は僕の頭を撫でた。


なんだこれ。

恥ずかしいのに、凄く安心する。


城矢君の顔を見た。

優しく微笑んでいた。


ドキッと僕の心臓が脈を打つ。


ドキッ…?

なんだこれ。

なんで…

顔が暑いんだろう。


すぐに視線を土へ戻し、城矢君も作業へ戻った。


視線は土へ戻せても、僕の心臓の音はしばらくは戻らなかった。