僕と城矢君の平行線は。

HRが終わった直後、城矢君が話しかけてきた。

「星南さんは花が好きなの?」

「??」

「さっき微笑んでたから。」

そんなに笑ってたかな。

あまり気にしてなかった。

それにしてもよく見てるな。

「あなたは僕のストーカーですか。」

真顔で質問してみる。

そしたら僕のこの一言が彼の心に刺さったみたい。

大袈裟なリアクションをしている。

「…お、俺はストーカーじゃ…」

効果音にしょぼーんっと付きそうだな。

本当に馬鹿だ。

本当にこの人は…

「冗談だよ。」

なぜだろう。

ただの会話なのに、意味も持たないはずなのに

僕は思わず笑ってしまった。

「花、好きだよ。」

周りからの見たらあまり動いていない表情筋だけど、

それでも僕の感情は城矢君によって動かされた。




「あの、大丈夫?固まってるけど。」

「だ、大丈夫。いややっぱり大丈夫じゃないかも……これは反則。」

城矢君は片手で顔を隠し、横を見ている。

ゴニョゴニョと何か言っていて、最後の方は聞こえなかった。

その光景を見て、僕はまた少し笑った。

これは僕だけが知っている。